日本昔話の伝承構造
武田正・著
定価(本体8641円+税)
柳田国男・関敬吾以来の昔話研究は、話型の確定のためのモチ−フ分析を中心としたものであった。ともすれば研究の埓外におかれてきたともいえる「話りの座」「話り手」「聞き手」の関係を伝承ということを軸に考究する。まずは、話り手と聞き手が「あいづち」を通して創造する昔話世界を解明するため、話り手と聞き手によって構成される「話りの座」の意味を明らかにする。また、昔話のモチ−フ分析によって、その主たるテ−マが人間の死と再生のドラマであることを明確にし、さらに、説話の輸送者の役割と彼らにより伝えられた説話が、どのように共同体の内部に入り込んでいったか、その伝承の歴史的展開をあとづける。
<目次>序章研究課題と方法/第1章昔話における語りの座/第2章昔話の語りの意味/第3章昔話伝承の歴史的展開/終章総括と展望